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鬼平犯科帳(一)~(十)_感想

鬼平犯科帳(一): 1

鬼平犯科帳(一): 1

鬼平犯科帳(二)

鬼平犯科帳(二)

凄く時間があって、たまたま読むことができる本の中に鬼平犯科帳があったので、1から10くらいまで読んでみました。文庫本は24まで出版されているようです。
あまり期待せずに読んだせいか思いのほか楽しむことが出来ました。

”鬼の平蔵”、”鬼平”こと長谷川平蔵が長官を務める、火付盗賊改方は凄い権限を持っています。ある意味ジャッジ・ドレッドよりも凄いです。
ジャッジ・ドレッド (竹書房文庫)

その鬼平の権限の一部について今風に言うと

  • 殺しのライセンスを所持している(斬り捨て御免の権限)

変装して家屋を取り囲み、一気に押し込んでの強制捜査。その場の判断で盗賊たちを切り捨てる。
「こやつどもを生かしておいてはためにならぬ。歯向かうものは切れ!!」とか言いつつ現場の判断で悪い奴らを皆殺しにしたりします。
「平十郎はおれが捕る。あとはみんな、斬って捨てい!!」
痺れます。

  • 潜入捜査権をさせることが出来る。

鬼平の判断で、司法取引どころか、拘置所に入っている死刑の可能性もある受刑者を一時釈放して潜入捜査をさせたりします。

  • 悪い奴らには凄まじい拷問もします。

捕まえた悪党の下っ端からボスの居場所を聞き出すために、いきなり足の甲に五寸釘を打ち込んで、そこに蝋燭の溶けて熱い蝋を流し込んだりします。このやり口にはCIAもビックリなはずです。知らんけど。


ここに出てくる悪党もかなり悪い奴らで、例えば悪党どもは、大きな店を襲い皆殺しにして金を奪ってしまいます。
そんな中、鬼平は強力な権限を利用して、このような極悪人を次々と捕まえて処刑していきます。悪い奴らが極悪なだけに、それらが殺られた時は痛快です。
悪い奴らをバタバタやっつけていくだけでなく、人情味の有るストーリーも結構ある(全体の3割前後くらいか?)ので、これは呼んでいて面白い。このシリーズが長く続いた理由が解る気がしました。

鬼平犯科帳を通して貫かれているポリシーの中の一つに、「真の盗賊は強盗を行うときに人殺しやレイプをしてはならない。」と言うようなものが度々出てきます。
・ツトメ(盗み)するとき、人を殺生せぬこと。
・女を手ごめにせぬこと。
鬼平犯科帳のサブタイトルは”盗賊の流儀”としたいです。


さらに、ここに出てくる盗賊達のシステムは目を見張る物が有ります。

  • 盗賊仲間のネットワークが有る

統率者、作戦立案者、見張り係、解錠係等と専門職が別れていて、職能に応じて盗賊団の間での職人の貸し借りも有る。

  • 数年の単位でターゲット周辺に潜伏して情報を収集したりもする。

ターゲットの大きな商店の近くに小さい店を出店して数年単位でターゲットの店の信頼を得た上で、建物の内部構造や、どこにどの程度の量の金を収めているか等の情報を調べ尽くした上で盗みに入ったりします。
「二年がかりで屋敷の間取りをしらべつくし、あたまの中へたたきこんである六人は、雨音のおもくこもる屋敷内を音もなく奥へ奥へと侵入して行った。」
凄い根性です。


スリの技を少女に教えるシーンでは
「大きなどんぶりに盛った砂の中へ人差し指と中指を突き込み、その砂の中で二本のゆびをしめたり放したり、砂の圧力に負けず自由自在にゆびが動くまで訓練させられる」
数十年前のジャッキー・チェンの映画か”北斗の拳”で、指を鍛えるのに熱く熱している砂の中に指を突っ込む特訓をやっていたような気がしますが、これはそれを思い出しました。
とにかくこうやって鍛えれば、財布など容易く抜けるようになるのでしょう。知らんけど。

以外と面白かったのですが、毎日読んで10巻くらいまで読んだ段階で同じテイストがずっと続くので、少しお腹いっぱい感が出て10巻くらいで挫折しました。
連続で読まず、時間を空けて読んだほうが良いかも知れません。

鬼平 Blu-ray BOX

鬼平 Blu-ray BOX

アニメ作品も制作されているようなので、見てみたいです。