- 作者: 外山滋比古
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1986/04/24
- メディア: 文庫
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読み始める前に思っていた以上に具体的な思考の整理方法についての本でした。あとがきにも記載されていますが、ハウツー本にならないようにしたと言うことで、実際ハウツー本では無いと思いますが、それに近い感じがしました。
30年以上前に書かれていて、現在のようにインターネットでたくさんのことが検索できたりAIが出現してくる前の時代のものですが、人間の基本的な能力は数十年前と比べてそれほど大きく変わっているはずはなく、タイトル通りの「思考を整理する」と言うことについて、参考になるところが結構ありました。
この本が記載された当時はパーソナル・コンピューターの出現が、人間にとってある種の脅威であるとともに、人間の能力を見直すきっかけとなっていることが記載されていますが、著者は現在のAIの出現についても予見していたのでは?とも思いました。
「グライダーと飛行機はよく似ている・・・ただ、かなしいかな、自力で飛ぶことができない。学校はグライダー人間の訓練所である。飛行機人間はつくらない。・・・」学校で教えられたことを忘れずに良い成績を収める人のことをグライダーに例え、自分で考えることを主軸としている人のことを飛行機に例えた比喩ですが、優秀な成績を収めて社会に出てもうまくいかない人が多いと言う事の理由について、こういった理由からくると言う一因もあるような気がしました。
カードにメモすることや、スクラップブックを作ること等が勧められています。現代風ではクラウドにメモをして、PCやスマホで共有出来るGoogle Keep等のサービスで代替出来そうな気もするけど、筆者のススメのとおり、切り貼りや自筆によるほうが身につきやすいような気もします。
Google Driveやブログに記録しても、いずれは消えてしまうような気がしますが、実際にスクラップブックやメモとして記録に残せば、数十年後に片付ける時に出てきたりすることも有りそうで、デジタル的に記録しておくことと、アナログ的に記録しておくことでどちらが良いのかと考えさせられました。
社会に出る前の若い人が読めば、中には人生をより良く出来る人が出てきそうな気もします。人生をより良い方向へ少しだけ変えてくれるかも知れないと言う点では、どの世代の人が読んでも良いと思います。